イントロダクション

今回は所謂『ローワーサード(Lower Third)』と呼ばれるテキストの出現方法をAviUtlで作る方法を記述していこうと思います。

↑この適当に作ったサンプルで言うと、右下に出てくるこういった文字の後ろに図形(通称ザブトン)とかの背景画像を使ったアニメーションテキストとかを『ローワーサード』と呼ぶらしいです。
英語だと『Lower Third』または『lower 3rd』と表記され、語源としては動画下部の1/3の場所に使用する事が多いからそういった呼称をされるようになったようですね。
まあ、昨今だとテロップに装飾や動きを付けたやつは全部こう呼ばれているみたいですが。

また一般人には解りにくい呼称ですわね。

業界用語はそいういうものが多いです。
ってな訳で、今回はこの『ローワーサード』の基本的な作り方を記述していく予定です。
テキストの出現方式については星の数ほどあるので、こちらのサイトにあるやつとかを参考にして気に入ったやつを自分好みにアレンジして作ってみると良いんじゃないかと思います。
複雑なものだとイラスト作成ソフトで素材を作ったりしないといけないので、最初はなるべく単純な構造のものを真似してみるといいでしょう。
基本構造は簡単なものでも複雑なものでも大して変わりません。
ただ単に使うレイヤー数と素材の数と中間点を作る数が多くなるので面倒くさくなるだけです。
ってな訳で、当記事では基本的なサンプルの作成方法だけを記述していくので複雑なものは作りませんが、それでもいいという方は暇潰しに見ていって下さいませ。

宜しくお願い致します。
基本的なローワーサードの作成方法

AviUtlの基本機能であるオフスクリーンとクリッピングを使って、特定の場所からニュッって出るような表現だけ出来るようになれば、あとは中間点を作って根気強くテキストや図形オブジェクトを動かすだけなので頑張れば大体のローワーサードが出来ると思います。
↑ちなみに、何もない場所からオブジェクトを出す方法はこちらの方の動画を参考にしております。
かなり勉強になりますので、お時間のある方は視聴してみると良いと思います。
作成に必要な外部スクリプト
↑オブジェクトの動きに緩急を付ける『イージング』です。
↑必須ではありませんが、登場演出に使用すると映える『さつき氏のスクリプト』です。
こちらのスクリプトには他にも有用な機能が色々と入ってますので、導入していないという人は入れておくと便利だと思います。
ローワーサードの作成
では、そろそろ作成の方を始めていきましょう。

↑とりあえず、基本形という事で今回サンプルとして作るのはこちらとなります。
作る事自体はそんなに難しくはありませんが、中間点とかを多用する為に工程数がそこそこ多いです。
なので、どちかと言うと完全な初心者よりも初級者向けの記事となりますので御了承下さい。
手順①AviUtlを起動して新規プロジェクトを作ります。
AviUtlを起動して新規プロジェクトを作ります。

↑拡張編集のタイムライン上で右クリックすると、上記のウィンドウが出てきますので『新規プロジェクトの作成』を選択して下さい。

↑新規プロジェクトの作成用ウィンドウが出てきますので、好きなように設定してOKボタンを押して下さい。
※フレームレートを上げると滑らかに動くようになりますが、動画の容量も上がりますので注意して下さい。私は適当に30くらいで設定してますが、激しい動きをする動画を作りたい人は60くらいでも良いと思います。
↑あとで要らない部分を切り取ってリサイズしたい場合は、こちらの記事を参考にしてトリミングしてみて下さいませ。
手順②シーン1に移動します。
普通にRootで作ると、逆再生するのが地味に面倒臭いのでScene1でローワーサードを組み立てる事にします。
※シーンについては、こちらの記事でざっくり解説しております。

↑タイムライン左上にある①部分の『Root』ボタンを押すと一覧が出てきますので、その中から②の部分の『Scene1』を選択して移動して下さい。
あとは各種設定をしておきましょう。

↑タイムラインの左上の『Scene1』ボタン上で右クリックすると『シーンの設定』が出てきますので、それを選択して下さい。

↑シーンの設定ウィンドウが出てきますので『アルファチャンネルあり』にチェックを入れておきましょう。
これをやっておかないと『Root』に戻った時に周囲が透過されずに黒一色になってしまいますので、背景とか入れた時に不具合が生じます。
手順③レイヤー1にザブトン用の図形オブジェクトを生成します。

↑タイムライン上のオブジェクトが何もない場所をクリック→『メディアオブジェクトの追加』→『図形』を選択して下さい。
図形オブジェクトが生成されますので、レイヤー1に置いておいてください。
私の場合、長さは大体3秒程度にしていますが、適当で良いです。
次に、この図形オブジェクトの各種効果を追加していきます。

↑図形の設定ダイアログ右上にある『+』マークを選択して、出てきたリストの一番下あたりにある『オフスクリーン描画』を追加して下さい。
同様に、もう一度設定ダイアログ右上にある『+』マークを選択して、出てきたリストの中から上の方にある『クリッピング』を追加して下さい。

↑こんな感じでオフスクリーン描画の下にクリッピングがあれば大丈夫です。逆の順序になっていると意図しない動きになるので注意して下さい。
ちなみにオフスクリーン描画は、それまで設定した項目や使用したエフェクトとかを一旦全て適用する事が出来る機能で、これの後にクリッピング機能を適用する事で画面上に見えない壁を作り出す事が可能となります。

↑とりあえず、この2つの機能を併用するとオブジェクトを移動させた時に見えない壁から出てきたような動きをさせる事が可能になると覚えておけば良いんじゃないかと思います。
手順④レイヤー1の図形オブジェクトのパラメーター設定を行います。

↑まずは四角形を移動させる為に中間点を作っておきましょう。タイムライン上のオブジェクトを右クリック→『中間点を追加』を選択する事で▼マークが生成されますので、真ん中よりもちょっと前くらいにドラッグして移動させてください。

↑これで中間点で区切った前半部分と後半部分でオブジェクトが選択できるようになりましたので、パラメーターを設定していきましょう。

↑オブジェクト前半部分のパラメーターはこんな感じです。
①Xのボタンを押すと移動形式を選択する為のリストが出てきますのでイージングの23番を選択して下さい。※イージングの基本的な使い方はこちら。
X方向の項目の左側の数値を-1200、右側を0にして下さい。
②サイズの数値を1080。縦横比を-82に設定して下さい。
③図形の種類を四角形にします。色の設定ボタンを押すとパレットが出てきますので好きな色に変更して下さい。私の場合はピンクにしています。
④クリッピングの項目の『左』の数値を420に変更します。
次にオブジェクトの後半部分のパラメーターを変更しましょう。

↑後半部分に関してはX方向の項目だけ両方とも0にしてもらえれば大丈夫です。

↑この段階でこんな感じになっていると思います。

↑ちなみにオフスクリーン描画の前に『斜めクリッピング』と『グラデーション』を付加すると、こんな感じで先端を尖らせたり色合いを変化させて見た目をカスタマイズする事もできますので、お好みでやってみて下さいませ。
手順⑤レイヤー2にテキストオブジェクトを生成します。

↑タイムライン上のオブジェクトが何もない場所をクリック→『メディアオブジェクトの追加』→『テキスト』を選択して下さい。
テキストオブジェクトがタイムラインに生成されますので、レイヤー2に配置して下さい。
次に、このテキストオブジェクトに登場演出の設定をしていきます。

↑設定ダイアログ右上にある『+』マークを選択して、出てきたリストの中から『アニメーション効果』を追加して下さい。
アニメーション効果の種類はさつき氏のスクリプトの中にある『ぽよよーんと登場』に変更しておいて下さい。

↑私の場合、レイヤー2のパラメーターはこんな感じになってます。
使用するフォントや文章の内容によって位置を調整しないといけないので、全く同じパラメーターにするのではなく、参考程度にして下さい。
基本的には『表示速度』に数値を入力している事と『文字毎に個別オブジェクト』にチェックが入っていれば、後は先程作ったザブトンからはみ出さないように注意して調整して貰えれば大丈夫です。

↑こんな感じでテキストが出現するようになっていると思います。

↑私の場合、レイヤー1の図形からテキストがはみ出ないように、レイヤー2を右側に0.1秒分だけズラして出現させるようにしております。
手順⑥レイヤー3に装飾用のラインを作成します。

↑タイムライン上のオブジェクトが何もない場所をクリック→『メディアオブジェクトの追加』→『図形』を選択して下さい。
図形オブジェクトが生成されますので、レイヤー3に置いておいてください。
次に、この図形オブジェクトの各種効果を追加していきます。

↑図形の設定ダイアログ右上にある『+』マークを選択して、出てきたリストの一番下あたりにある『オフスクリーン描画』を追加して下さい。
同様に、もう一度設定ダイアログ右上にある『+』マークを選択して、出てきたリストの中から上の方にある『クリッピング』を追加して下さい。

↑例によって例のごとく、こんな感じでオフスクリーン描画の下にクリッピングがないとまともに機能しませんので注意して下さい。

↑次にレイヤー3に中間点を作ったら、適当にこんな感じで後ろの方に▼マークを移動させて下さい。
※レイヤー3の長さについては大体2.3秒くらいにして、レイヤー1の一番後ろに合わせてますが、お好みで調整して下さい。

↑レイヤー3の図形オブジェクトの前半部分のパラメーターはこんな感じです。
例によって使っているフォントが違うと微調整が必要なので参考程度にして下さい。
①Xのボタンを押すと移動形式を選択する為のリストが出てきますのでイージングの23番を選択して下さい。※イージングの基本的な使い方はこちら。
X方向の項目の左側の数値を-1044、右側を-7にして下さい。Y方向は全部33です。
②サイズの数値を967。縦横比を-99.4に設定して下さい。
③図形の種類を四角形にします。色の設定ボタンを押すとパレットが出てきますので必要があれば好きな色に変更して下さい。私の場合はデフォルトの白にしています。
④クリッピングの項目の『左』の数値を471に変更します。
次にオブジェクトの後半部分のパラメーターを変更しましょう。

↑後半部分に関してはX方向の項目だけ両方とも-7にしてもらえれば大丈夫です。

↑これでテキスト文字の下にラインが引かれるようになりましたので、最後に下部から出てくるサブテキストを作っていきましょう。
手順⑦レイヤー4にテキストオブジェクトを生成します。

↑タイムライン上のオブジェクトが何もない場所をクリック→『メディアオブジェクトの追加』→『テキスト』を選択して下さい。
テキストオブジェクトがタイムラインに生成されますので、レイヤー4に配置して下さい。
次に、このテキストオブジェクトに登場演出の設定をしていきます。

↑図形の設定ダイアログ右上にある『+』マークを選択して、出てきたリストの一番下あたりにある『オフスクリーン描画』を追加して下さい。
同様に、もう一度設定ダイアログ右上にある『+』マークを選択して、出てきたリストの中から上の方にある『クリッピング』を追加して下さい。

↑次にレイヤー4に中間点を作ったら、適当にこんな感じで後ろの方に▼マークを移動させて下さい。
※レイヤー4の長さについては大体1.9秒くらいにして、レイヤー1の一番後ろに合わせてますが、お好みで調整して下さい。

↑レイヤー4の図形オブジェクトの前半部分のパラメーターはこんな感じです。
使用するフォントや文章の内容によって位置を調整しないといけないので、全く同じパラメーターにするのではなく、参考程度にして下さい。

↑レイヤー4の図形オブジェクトの後半部分のパラメーターはこんな感じです。基本的にY方向の数値だけ前半部分のY方向の右側と一致させておけば大丈夫です。

↑これでシーンでの工程は完成です。最終工程として退場演出を作りましょう。
手順⑧シーンからRootに戻って逆再生させる。
本当はシーン2に、これから記述するシーン1を使った退場演出を作ってRootに戻った方が扱いが楽なんですが、工程が長くなるので今回はRootに直で退場演出を作っていこうと思います。

↑タイムライン左上の『Scene1』ボタンを押すとリスト一覧が出てきますので、『Root』を選択して下さい。

↑タイムライン上で右クリック→『メディアオブジェクトの追加』→『シーン』を選択して下さい。
作ったシーンが一つしかないので自動的に先程作ったシーン1のオブジェクトがタイムラインに生成されますので、レイヤー1に配置して下さい。
デフォルト状態だと短めの長さになっている可能性がありますので、適当にオブジェクトを伸ばして下さい。

↑あとはシーンのオブジェクトをコピペして後ろにもう一つ同じシーンを繋いで下さい。
で、この後ろに繋げた方のシーンを逆再生させます。

↑逆再生させる方法は設定ダイアログの『再生速度』の数値を-100にするだけです。

↑これで退場演出も出来ましたので完成となります。

↑適当な背景を入れるとこんな感じになりますね。
って事で以上です。
中間点を使いまくる為、正直あんまり初心者向けではありませんが、一度テンプレートを作っておけば文字列だけ変えて使い回せますので幾つかローワーサードを作っておくと便利だと思います。
結構長くなりましたが、ここまで読んでくださった方はありがとうございました。

お疲れ様でしたわ。
他のAviUtl関連の記事はこちらからどうぞ。
他のAviUtlプラグイン紹介記事はこちら。
AviUtlスクリプト紹介記事はこちらです。
新規でブログを作りたい方はこちらのレンタルサーバーがお薦めです。⇒≪新登場≫国内最速・高性能レンタルサーバー【ConoHa WING】
動画編集、3Dモデリング用のパソコンをお求めの方はこちらがお薦めです。⇒BTOパソコンのサイコム
今回の経費&記事作成時間&日記

記事作成時間:約5時間
調整中だった新しい立ち絵が、ようやくほぼ完成状態となりました。
まあ……立ち絵の方はPSDツールキット用のanmファイルをまだ作ってないので、完全に完成するのは(2体分あるので)あと半日ほどかかる見込みだったりするのですが……正直、もう疲れたので少し日を置いてからやろうかと思います。
ここ1週間ほどは暇な時間は全部改修に注ぎ込んでいたので、今はもう立ち絵を見たくないというのが本音だったりします。
師匠達の監修がマジで辛かったですわ。
立ち絵の完成品に関しては何か記事を一つくらいは作ってお披露目しようかと思ってますが、あんまり途中経過を保存してないのでどうしようかなーと悩んでもいます。
う~ん。何もネタがなかったら記事を書くかも知れませんが、需要がなさそうなのでTwitterでさらっと御披露目でも良いかも知れません。
……とりあえず、あんまり頭も働きませんし、あとの事はあとで考える事にして私は1日くらい寝る事にします。
ここ最近は睡眠時間を削って調整してたので、メッチャ眠いです。
って事で、最後に恒例の累計出費&記事作成時間を発表して終わりにしましょう。
総制作時間:約2130時間
累計支出:72,842円